開業20ヶ月間のまとめと小さい乳癌(10mm以下)について

                                                              平成21年1月
                                                          新都心レディースクリニック
                                                             院長 甲斐敏弘

  新都心レディースクリニックは、乳がん検診,乳腺・甲状腺の診療を行うことを目的で平成19年5月に開業いたしました。
 開業から平成20年12月までの診療内容のまとめと小さい乳癌(10mm)についてご報告いたします。


 開業20ヶ月間のまとめ (平成19年5月〜平成20年12月まで)
  
  月別の検査件数の推移は,変動は大きいものの比較的順調に増加しつつあります。20ヶ月間をまとめるとマンモグラフィは
 延べ5441件,超音波検査は5545件。発見乳癌数は延べ136例。
  検査を受けた方の約2.5%の割合で乳癌が発見されています。一般で受ける乳がん検診の発見率の10倍程度にあたります。
 これは、検 診後の精査目的や初めて検査を受ける方が多いこと,積極的に超音波検査を行っていることが関連していると
 思われます。

  マンモグラフィと乳腺超音波検査件数および発見乳癌例数の推移
  

  発見乳癌症例の年齢分布
  

  乳癌の方の年齢分布をみると23歳から87歳までで平均51.4歳です。40歳代,50歳代の症例が多いのは当然ですが,
 検診年齢に達していない40歳未満の症例も20%(20歳代3例,30歳代24例)を占めており,この年代においては、
 検診のあり方も含めて解決すべき重要な問題であると思われます。特に若年者での乳癌早期の発見のためには,
 現状では超音波検査の精度を上げる努力が必要と考えています。


 小さい乳癌(10mm以下)25例について (平成19年5月〜平成20年10月)
 
  乳癌を再発の心配の少ない状態で発見するためには、できるだけ小さいうちに発見することです。特に超音波検査で頻繁に
 遭遇する小さい低エコー像の鑑別は、最も重要です。10mm以下の大きさで発見できた小さい乳がん(T1aT1b)25例に調べて
 みました。平成19年5月から平成20年10月までの1年6ヶ月の発見乳癌120例のうち,10mm以下のT1aT1b乳癌は20%にあたる
 25例(35歳〜71歳,平均年齢51.7歳)。診断の上注意を要する自覚症状の無い症例は14例(56%),腫瘤触知不能例12例(48%),
 マンモグラフィ陰性例は12例(50%)でした。ただし,マンモグラフィでの所見がなければ超音波検査だけでは発見が難しかったと
 思われる例も2例ありました。

 小さい乳癌(10mm以下)  120例中25例(20%)
・自覚症状 あり11例(44%) なし14例(56%)
・腫瘤を触知 可能13例(52%) 不能12例(48%)
・マンモグラフィ 異常あり12例(50%) 異常なし12例(50%)(非撮影1例)
・超音波検査 異常あり25例(100%)   
 
  超音波検査で細胞診を行う根拠となった超音波所見は、ハロー6例,境界線断裂5例,形状の異常10例などですが,
 見直してみてもおとなしい低エコー像は8例,線維腺腫と思い込んでしまいそうなもの2例でした。
 

  1.触診でも小さいな乳がんを見つけることができる。
    → 普段から自己検診を.「いつも同じかどうか」をチェックすべし。
  2.マンモグラフィと超音波検査をなるべく併用しましょう。
    → 特に年齢の若い方や高濃度乳腺の方は超音波検査の併用を。
    → マンモグラフィと超音波はお互い補い合う関係なので、なるべく併用を。
  3.経過観察の重要性
    → 経過観察中の変化で診断がついた方もいます。


   再発の可能性のない小さいシコリで見つけることは,
  お子さんやご家族に対するあなたの責任でもあります。